[造手] Cinque Camini / チンクエ カミーニ
[銘柄] Aletheia / アレテイア(ステンレスタンク熟成Ver.)
[国] Italy / イタリア
[地域] Calabria / カラブリア州
[品種] Magiocco / マリオッコ
[タイプ] 赤 / フルボディ / 辛口
[容量] 750ml

<銘柄エピソード:Edited by essentia>2017VT
アレテイアはギリシャ語で真実を意味する言葉。ラテン語の有名な慣用句“in vino veritas”(直訳すると“酒の中に真実あり”で、酒は本性を表すというのが裏の意味になります)から取った名前。2016年が初入荷で全量買い取り1500本入荷。次がこの2017年。2016年もなかなかにパワフルでしたが、酷暑の2017年は苦く感じるほどに渋いです(笑)。その強靭なタンニンのおかげで、圧倒的な抗酸化力を備えていますので、グラスワインに最適です!この2017年ヴィンテージですが、ステンレスタンクで熟成したものと、樽で熟成したものの2種類があります。劇的な違いはありませんが、やはり樽で熟成させたものの方が柔らかいように感じます(2020.06.05)。

<栽培:Edited by essentia>
標高約700〜800メートル。特にマリオッコ主の区画は渓谷に位置し、谷の下方には川が流れ、南向きのなだらかな斜面と途中からちょっと急になる斜面に位置する。

<醸造:Edited by essentia>
酸化防止剤も含め一切の添加物を使用せず、ステレスタンク熟成したもの。

<ストーリー:Edited by essentia>
2018.10.09 輸入元社長の文章より
空港の荷物受取所で、(自分の)荷物がいち早く出てくるという運には全く恵まれていませんが、ステキな造り手を引き当てる強運は持ち合わせていると自負するオータ、今春のとあるサロンで物凄い造り手と知り合ってしまいました!僕自身4年ぶりに顔を出したその年のそのサロンが、その造り手にとっては初めてサロンなるものに出展参加した年だったという偶然!美味しいワインはこの世にまあまあたくさんあると思うのですが、造り手&ワインの素性に関して何の情報もない中で試飲して、理性よりも感情や感性に訴えかけられる・・・言い換えるなら、美味しさよりも何よりもキラリと光る魅力個性に心を一瞬で奪われる、という経験はオータ的にもそれほど多くありません。思い返してみると、この衝撃は2006年にパーネヴィーノのワインを始めて飲んだ時以来…という気がしています。
そんな造り手、チンクエ カミーニ(“5つの暖炉”を意味するのですが、自宅兼ワイナリーに暖炉が実際に5つある事にちなんでいます)は、カラーブリア州の内陸部の町アクリにあり、オッターヴィオ サッマーロ(以下、彼の愛称オッター)というそりゃもう個性的なオッサンによって営まれています。
徴兵を逃れる目的で13歳の時(!!)にパリへと移り住むが、10年後に一時帰省からフランスへと戻ろうとした際に国境で捕まり強制送還、そのまま無理矢理軍隊に入れられるもコーヒー(+砂糖?)だけで過ごすというハンガーストライキを敢行、2か月後に放免…このエピソードからだけでも彼のファンキーさの一端が垣間見えるかと。
何かワイナリーの紹介文とかないの?とメールで問い合わせると、
“約20年前から自然(畑)の世話をし、愛することに打ち込むように。献身的な愛情をもって育むべき(農を取り巻く)全ての事柄に対して、最大限の敬意を払いながら大地を耕すことを心がけている。母なる大地からの我々への贈り物とも呼べる、古くからその場所に存在してきたあらゆる生命(動植物、微生物)の居場所や命をむやみに奪うことのない農業を実践することは、私にとってはもはや芸術と呼ぶべきもの。全ては母から荒れ果てた土地を相続した時に始まり、その荒れた土地を愛情と共に耕し始めブドウ畑とし、徐々に別の土地を買い足し、様々な品種のブドウを栽培するように。自然環境と共生、調和を図る農業という純然たる芸術を実現するために、私が畑に人為的にもたらす唯一のものとして、VA菌根菌がある。”
と、比較的意味不明な文章(笑)が届きましたので、もっと詳しく彼の考えを知るべく、先日彼のもとを訪ねてきました。芸術をこよなく愛し、特に音楽に関しては恐ろしく造詣が深く、“美しい”ことのみを重要視しジャンルに囚われることなく聴きまくり、午前中は畑作業、午後は奥さんの経営する薬局で働く日々・・・。
自生する植物を利用しての草生栽培、微生物環境を守るため耕転は行わず、有機農業での使用が認められているボルドー液等の農薬でさえ「使わないで済むのなら、使いたくない」を信条とし、ベト病やうどんこ病などの症状が出始め、蔓延する危険が高まった場合にのみ、(予防ではなく防除のために)使用するそう。セラーでも、酸化防止剤も含め一切の添加物を使用せず、きわめてナチュラルな醸造を心がけています。
前述のVA菌根菌ですが、植物の根に共生する、土壌中のリンや水などを供給して宿主植物が健全に生育するのを助け、その見返りとして光合成産物である糖類を植物からもらうという相利共生関係を結んで生きる菌類。このVA菌根菌、宿主植物に栄養吸収促進を促すだけでなく、(その植物の)病害虫や干ばつへの抵抗性を高める効果がある事が確認されていまして、オッターはこの菌を地中に供給するだけでなく、ブドウの葉っぱに対しても散布を行っています。農業、ブドウ栽培、ワイン醸造いかなることに関しても、特定の人に師事したことはなく、全て独学で学んだそう・・・。
サロンでいくつかのワインを試飲しただけで取引を決め、オッターがメールで書いてきた在庫全種類&ほぼ全量を買うという、彼からしてみたらこれ以上はあり得ないくらいの信頼ぶりを僕が示したことと、他の国のインポーターとあまりうまく行かなかった過去があるからなのか、
「オータ、今回畑からワイナリーまで実際に見てみてどう感じた?」
と心配そうに聞いてくるので、
「菌根菌を畑に撒くとか、全く聞いたことない話もあったけど、俺的には良い意味で驚きはなくて、むしろ(自分の考えが正しかったことを)確認させてもらった感じ。こんな佇まいのワインを醸すわけだから、それなりの文化や哲学を持ち合わせる良心ある人に違いないと信じてドカッと買ったわけじゃない?今回いろいろ見させてもらって、そしてオッターをもう少し良く知ることで、俺の考えが間違っていなかったと確信できたし、ワインからちゃんとそれを読み取れた自分を褒めてあげたい気分(笑)。」
皆さんにも、こんな造り手がいまだ無名だなんて!と驚いていただけると思います。酸化防止剤完全無添加ではありますが、極端な還元(香)とは全く無縁のワインです。

2018.10.23 スタッフ三浦の造り手訪問記 その1 チンクエ カミーニ編

2019.06.21 輸入元社長の文章より
ここで悲しいお知らせが。去年から取引を始めた、カラーブリア州のチンクエ カミーニのオッターヴィオ サッマーロ(以下オッター)が5/26に逝去しました。原因は聞かされていないのですが、亡くなる1か月前にミラノの病院に搬送され、そのまま帰らぬ人となってしまったようです。直接会ったのは結局2回だけなのですが、モノの見方考え方で共感できるところも多く、まるで以前から知り合いだったかのような感覚を持てる人だっただけに、より多くの時間を一緒に過ごせなかったことがとても悔やまれます。オッターの事を兄のように慕う近所のレストランのシェフが、僕に訃報を伝えてくれたのですが、そのシェフともオッターが生前に仕込んだワインは何としても世に出そう(ボトリングしよう)と話しています!!
で、今回届いたワインですが、「売りに歩くのとか面倒だから、お前が好きなだけ持っていけ」とオッターが言ってくれたので、(ほぼ)全量頂いたものになります!今回リリースするのは、カベルネ&メルローで造る、イタリアにおけるワインジャーナリズム界の巨人ルイージ ヴェロネッリに捧げたワインALV(A Luigi Veronelli、“ルイージ ヴェロネッリに”の頭文字を取っています)の2017年の樽熟成を施したものとステンレスタンクのみで醗酵熟成させたものの2ヴァージョンと、こちらもカベルネ&メルローで造られる、ALVよりも長い樽熟成を施したエドゥスの2012と2013でっす!
ガンガン飲んで、天国のオッターを喜ばせてあげてください!
(以上、輸入元情報を基にエッセンティアにて編集。転載の場合は必ず引用元を明記のこと)
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