[造手] Domaine de Clovallon / ドメーヌ・ド・クロヴァロン
[銘柄] Les Aires / レ・ゼール
[国] France / フランス
[地域] Languedoc‑Roussillon / ラングドック・ルーション
[品種] Viognier / ヴィオニエ
[タイプ] 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<銘柄エピソード:Edited by essentia>
レ・ゼールとはヴィオニエが栽培されている区画の名前(リュー・ディ)。麦の穂から実を取り除く、脱穀所に使われていた場所だったため、レ・ゼールと呼ばれていた。
<栽培:Edited by essentia>
標高250−400mの高地にあり、畑は北向きの緩やかな斜面。ラングドックでも冷涼なミクロクリマ。1988年にコンドリューのジョルジュ・ヴェルネイの畑から譲り受けた穂木を植樹した畑。ビオディナミ。
<醸造:Edited by essentia>
早朝に手摘みで収穫したブドウを畑と醸造所で各1回ずつ選果。完全に除梗をして10日間マセレーションを行った後、圧搾してブドウに付着している野生酵母のみでステンレスタンクでアルコール発酵。酵素や培養酵母、酒石酸、濃縮物、矯正剤、安定剤などの醸造添加物は一切付け加えずに醸造。圧搾後、ドゥミ・ミュイ(350リットルの中樽)に移し、マロラクティック発酵と熟成。マロ発酵は自発的に行い、熟成はシュール・リーの状態で実施。熟成後、無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2も無添加で醸造。
2023年物の収穫日は9月16日。総生産量3,000本。2024年12月の分析ではSO2は検出されず。アルコール度数12.5度。
<ストーリー:Edited by essentia>
ビオディナミからナチュラルワインへ
クロヴァロンでは2000年にビオロジックから完全なビオディナミへと移行し、全てのワインが厳格なデメテールの認証を受けています。栽培では、ブドウ木に過剰な負荷を掛けないようグリーン・ハーヴェストも摘芯も除葉も行いません。醸造においても野生酵母のみでブドウ以外には何も加えずブドウの力だけで自発的に発酵を行い、亜硫酸も必要な場合に限り最小限添加するのみで、可能な限り介⼊を排したナチュラルワインを造っています。ル・トン・デ・スリーズのすぐ南のベダリューにあるクロヴァロンは標高250−400mの高地にあり、ラングドックでも冷涼なミクロクリマに位置しています。このため、ブルゴーニュ的なフィネスとエレガントさを備えたナチュラルワインを生み出しています。
ワインの多様性と可能性を広げる取り組み
ドメーヌは母と娘の二人三脚で運営されてきましたが、2016年からは、ステファノ・ルビアナ、マリー=テレーズ・シャパーズ、アンジェロ・ガヤなどで修行した娘のアリックスがドメーヌの全権を任され、新たな取り組みを始めています。約200年前に植樹された15種以上の地場品種が栽培されるクロから、フィールドブレンドで醸造したキュヴェや、中世のブルゴーニュの慣行を逆転させた手法によるシラーとピノ・ノワールのブレンドキュヴェ、そしてリースリングとピノ・ノワールをブレンドした白ワインなど、既成概念に囚われない、ワインの多様性と可能性を広げる新たなキュヴェのリリースを始めています。2017年からはナチュラルワインのイベント「Raw Wine Fair」にも参加しています。
ドメーヌについて
クロヴァロンはCatherine Roque カトリーヌ・ロックによって1985年に創設されました。建築家をしていたカトリーヌは、フォジェールの北隣の村Bedarieux ベタリューに畑付きの自宅を1985年に購⼊。ブドウ栽培とワイン造りを独学で学びながらドメーヌの経営を始めました。当時、畑にはアラモンといったラングドックの大量生産用のブドウが植えられていましたが、ドメーヌは標高250−400メートルの高地で、ラングドックでも冷涼なミクロクリマで、畑は北向きの緩やかな斜面に位置していました。このため、南仏の品種よりも、冷涼な気候の品種が向くと直感したカトリーヌは、1985年にシャルドネ、1988年にヴィオニエ、1989年にはピノ・ノワールを植樹していきました。ヴィオニエなどは、ローヌのジョルジュ・ヴェルネイの畑に出向き、穂木を譲り受けてドメーヌの畑に植樹するほどの情熱を傾けて栽培を始めました。また、ピノ・ノワールに関しては、ラングドックで初めてピノ・ノワールを植樹したのがクロヴァロンでした。というのも、当時、まだピノ・ノワールはヴァン・ド・ペイ・ドックの指定品種に認定されていなかったのです。自身の畑におけるピノ・ノワールの可能性を信じたカトリーヌは、INAOに陳情を働きかけ、最初は実験という名目で許可を得てピノ・ノワールを栽培していきました。その後、ドメーヌで栽培されたピノ・ノワールから造られたワインの品質の高さが認められたことによって、ピノ・ノワールはヴァン・ド・ペイ・ドックの品種として正式にINAOに認められるようになったのです。つまりカトリーヌは南仏のピノ・ノワールのパイオニアであり、母である存在なのです。
畑について
現在の栽培面積は11haで赤ワイン用2品種、白ワイン用8品種が栽培されています。畑は品種毎11区画に分かれ、1ha超える区画はピノ・ノワールの2区画とヴィオニエの1区画のみで、その他は全て1ha以下の小さな区画になっています。ドメーヌのブドウ畑は北向きのすり鉢状になっています。ちょうど谷の出口に位置するため、標高1000mに達するMonts de L'Orb オルブ山と、Larzac ラルザック台地から冷たい空気が吹き付けてきます。また、畑の南には石灰岩の断崖があって、ブドウ畑を海からの暑い空気から遮断しています。こうして、北の品種に向いた冷涼なミクロクリマが形成されているのです。一方、この畑の南側にある石灰岩の断崖が巨大な貯水槽の役目も果たしているため、地中7−10mにある母岩の上を地下水が流れ、ブドウ木に安定的に水分が補給されます。ピノ・ノワールは特に水のストレスに非常に敏感であるため、栽培に最適な環境が揃っているというわけです。また、畑の地質は、この地域では珍しいマグネシウムが豊富なドロマイト石灰岩土壌の地層であるため、豊かなミネラルがワインに表現されることも大きな特徴です。ドメーヌ名のClovallon クロヴァロンとは、南仏の方言で「谷あいの窪地」を意味します。設立当時、ドメーヌの建物があった場所が、谷あいの窪地に位置していたためこの名前が付けられました。2016年からは、イタリアのアンジェロ・ガヤ、タスマニアのステファノ・ルビアナ、スイスのビオディナミの大御所マリー=テレーズ・シャパーズなどで修行したカトリーヌの娘のAlix アリックスがドメーヌの全権を任され、新たな取り組みを始めています。(※ドロマイト:珊瑚などの生物が海底に堆積して石灰岩になった後、カルシウムの一部が海水中のマグネシウムで置き換わって生成した生物由来の鉱石。天然のミネラル素材で、カルシウムとマグネシウムが2対1の理想的なバランスで含まれている。)
栽培について
ドメーヌでは設立当初よりビオロジックを実践していました。その後、2000年に完全なビオディナミへと移行し、全ての畑でビオディナミによるブドウ栽培を行い、ドメーヌの全てのワインが厳格なデメテールの認証を受けています。 植樹比率は1ha当たり6000本で、収量のコントロールは剪定段階で行っています。剪定の際、極めて短小に剪定を行うことによって収量が増えないよう調整しています。通常、剪定がうまくいけば想定した収量に誘因できるため、基本的にグリーン・ハーヴェストは行いません。しかし、芽かきは、翌年の剪定をやり易くしてくれるため、実施しています。摘芯は行いませんが、「Tricotage トリコタージュ」という、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワでも行われている手法が取られています。これは枝先を切らずに伸びた枝を巻きつけて編んでいく手法で、ブドウが色付きの段階で行っています。 除葉は基本的には行いませんが、9月の段階でブドウの成熟が遅い場合は行っています。収量は品種や区画によって異なりますが、1ha当たり25ヘクトリットルを超えることはありません。 畑の耕作は年2回行います。冬場はつるはしを使って手作業で、もう一回はブドウの芽から綿毛が出た頃からブドウが結実する間の時期に馬を使って行っています。耕作と同時に、ブドウ木と競合関係になってしまう不要な雑草を取り除いています。除草剤は一切使用していません。また、ヤギの糞を使った堆肥やビオディナミの調剤をコンポストとして畑に撒いています。(※Tricotage トリコタージュについて 摘芯は、結実した実により養分がいくように、また伸びていく枝が他の葉に影を作ったり、絡まって風通しが悪くなったりするのを避けるために、不必要な枝先を切る作業です。しかし最近は、伸びていく枝先こそがブドウの糖分を作るのに役立っていると考えられており、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワのように摘芯をしない造り手が増えています。これらの造り手が、摘芯をしない代わりに行っているのが「トリコタージュ(フランス語で『編む』という意味)」です。これは、糖質を作る枝先を切らずに、枝が影を作らないように伸びた枝を巻きつけて編んでいく作業です。)
収穫と醸造について
収穫は昼の暑い時間帯を避け、早朝に行います。全て手摘みで行います。ブドウが潰れないように、収穫したブドウは小さなケースに入れて醸造所まで運ばれます。選果は収穫直後に畑で1回、さらに醸造所に運んで醸造する前に1回、合計2回行われます。 醸造はブドウに付着している野生酵母のみで行い、他のいかなるものも加えません。SO2も無添加(もしくは必要最低限のみ添加)。ピノ・ノワールのキュヴェは、除梗せずに全房で発酵を行います(キュヴェに応じて50%前後除梗する場合もある)。発酵はステンレスタンクもしくは円錐形の木製の発酵槽で行われます。圧搾後、バリック(マス・ダルゾンの白ワインの熟成に使用した1−3年樽)又は円錐形の木製タンクでマロラクティック発酵と熟成を行います。 ドメーヌではフレッシュ感とタンニンの繊細さ、ブドウに備わっている複雑な香りを引き出すナチュラルな醸造を行っており、過剰なアルコール度や力強さなどは追求していません。ドメーヌは2017年からナチュラルワインのイベント「Raw Wine Fair」に参加しています。
(以上、輸入元情報を基にエッセンティアにて編集。転載の場合は必ず引用元を明記のこと)