[造手] Vodopivec / ヴォドピーヴェッツ
[銘柄] Solo / ソーロ
[国] Italy / イタリア
[地域] Friuli Venezia Gulia / フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州
[品種] Vitovska / ヴィトフスカ(ヴィトヴスカ)
[タイプ] オレンジ / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml

<ソーロについて>
パオロが所有する区画の中の1つに、15-20cmの薄い表土の下が思いっきりTheカルソとでもいうべき、石灰岩の岩盤だったところを削岩機のようなも ので砕き、表土を戻して畑とした狂気の沙汰ともいえる区画があります。2006年だったでしょうか、2004年のその区画のワインを飲んだ僕とフランク・コーネリッセンは、そのあまりの深い味わいに悶絶、結局パオロは他の区画のワインとブレンドせずにボトリングをし、ソーロという名前でリリースします。単一畑という事でソーロ(唯一の)であり、ボトリングを行った2007年に弟ヴァルテルがワイナリーから抜け、パオロ一人になったという事でソーロ(一人の、孤立した、孤独な)。2005年以降、造られることのなかったこのソーロ、2009でようやく復活。

2014年はパオロにとっても非常に難しいヴィンテージで、従来の収量の半分以下だったという事もあり、オリージネやT(醗酵・熟成の全工程にアンフォラを使用したワイン)などのワインは仕込まず、ノーマルのヴィトフスカとソーロの2ワインのみを造ることにします。2013ヴィンテージまでは、アンフォラないし木樽での醗酵&熟成期間を3年取っていたのですが、2014は線の細いブドウだった事もあり、例年通りの熟成期間を取る事で酸化的なニュアンスが付与されてしまう事を危惧し、アンフォラで1年(皮ごと半年、圧搾したワインを更に半年)、大樽で1年寝かせた後にボトリングする事に。樽での熟成期間を通常よりも短くすることで、場合によっては一部の樽を空の状態で置いておかねばならず、ワインで満たされていない樽はバクテリア汚染のリスクも高まるため、パオロとしても避けたかった選択だったはずなのですが、2014年のワインを最良の形で表出させるためにはそうする必要があると考えたのかと。オータ的には英断だったと思っております!
近年のパオロのワインは、味わいが開いてくるタイミングで色さえも鮮やかに変化する(黄色味が増す)とオータは思っているのですが、2014はすでに色、香り、味わいのどれもが開いていて、恐ろしいばかりの飲み心地を備えたワインです。

[畑] アルベレッロ仕立て(株仕立て)
[土壌] 石灰岩を一旦取り除いて崩し、それを元の場所に戻した土壌
[栽培] ビオロジック。

<醸造>
アンフォラで1年(皮ごと半年、圧搾したワインを更に半年)、大樽で1年寝かせた後にボトリング。

<ストーリー>
とことん努力する天才パオロ
パーネヴィーノのジャンフランコは狂気の沙汰ともいえるパオロの生き方、仕事に捧げる莫大な時間、労力を目にして、”俺には無理”と匙を投げ、スロヴェニアの巨人ヴァルテル・ムレチニックはパオロの畑を見て「僕が今までで見た畑の中でいっちばん素晴らしかった!パオロが僕なんかよりも遥か先を見据えていることを見せつけられちゃった感じだよ。いや、本当に凄いよ!」と絶賛、その仕立てはレ・ボンチエのジョヴァンナも新しく開墾した畑で採用し、そのジョヴァンナ、マッサ・ヴェッキアのファブリーツィオをして天才と言わしめる“努力する天才”です。
トリエステ県カルソ地区のほぼ中心ズゴーニコにあるヴォドピーヴェッツ家。代々農業を営んでいますが、パオロ&ヴァルテル兄弟によってワイナリーとして本格的な生産&ボトリングを開始したのは1997年のこと。カルソという土地を表現するにあたり、ヴィトフスカこそ最良のブドウであると信じ、自ら開墾した畑はヴィトフスカのみを植えています。
カルソは、石灰岩台地で土が少ないところで、既存の畑というのは土が多かった場所か、もしくは客土(外から土を持ってくること)をしたところであったりします。彼が最初に開墾した畑も客土をしたそうですが、すごく後悔をしているとのこと。その後の畑は、土が少なくてすぐに石灰岩の岩盤に当たる所を、まずは表土を除け、削岩機のようなもので岩盤を砕き、岩ないし石状にし、除けておいた土を戻すという気の遠くなるような作業で、自ら開墾し仕立てたのです。

考え抜かれた仕立て
とても低い仕立てになっているのは、地熱の影響でブドウがより凝縮するように、ブドウの枝が垂直方向により高く伸びることができるようにするため。ブドウ樹1本1本が3本のロウソクを置けるような燭台型になっているのは、それぞれの燭台の先に生るブドウを均質化する目的で、根からの距離をほぼ均等にするため。燭台部分が直線的になっているのは、強い風の多いカルソという地域で、折られないよう枝を針金の間に通しやすくするため。
当然のことながら一切の灌水を行わず、極稀に必要だと判断した場合にのみ牛糞をベースにした完熟堆肥を入れるが、飼料もカルソ産の一切農薬を使っていないものを与えられた、カルソで育てられた牛のものを使用。ありとあらゆる農薬を使わず、数年間はボルドー液さえも使わず、海草やミネラル、土など自然素材をベースにした薬剤のみの栽培にも挑戦。近年はこの薬剤をベースに、ボルドー液の使用は1-2回程度にとどめるようにしています。これはボルドー液の構成要素である銅が、皮に付着・残留するのを極限まで無くす(減らす)ためで、長期間の醸し醗酵を行うパオロならではの発想なのかもしれません。
2009年には新しいセラーの建設に着手(2011年5月に完成)。壁はカルソの岩盤むき出しの状態で、セメントは天井にのみ使われ、そこに塗られた塗料も土をベースにした天然素材のもの。円が2つくっついたような形をしているのは、パオロが角(かど)のある構造を嫌ったため。大気もエネルギーもある程度均等に循環させるためには大切だと彼は言います。セラーから出て電源を切ると、セラー内には完全に電流が流れない状態になり、これも電磁波の影響なくワインをゆっくり休ませてあげるためとのこと。ワインにここまでリスペクトが払われているセラーを僕は見たことがありません。このセラーの建設において驚くべきは、削岩機による穴掘り作業以外は基本1人でやったというのです!このセラーはワインの寺、神殿のようなものだと彼は言います。
ラインナップは3種類(2009ヴィンテージ時点)。アンフォラで醗酵、終了後も皮ごとの状態でふたをし、一冬を外で過ごさせ、翌春に圧搾、大樽で熟成させボトリングした“Vitovska”(2005〜)。木製開放式醗酵槽による醸し醗酵、約3年の大樽熟成をさせた“Vitovska Origine”(1997〜2004は“Vitovska”2005〜2006は“Vitovska Classica”)そして、15-20cmの薄い表土の下が思いっきりTheカルソとでもいうべき、石灰岩の岩盤だったところを削岩機のようなもので砕き、表土を戻して畑とした狂気の沙汰ともいえる区画のブドウ単一でボトリングした“Solo”。単一畑という事でソーロ(唯一の)であり、ボトリングを行った2007年に弟ヴァルテルがワイナリーから抜け、パオロ一人になったという事でソーロ(ひとりの、孤立した、孤独な)。(2004,2009,2011,2012,2014)
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