[造手] Abbia Nova / アッビア・ノーヴァ
[銘柄] San Giovanni Passerina del Frusinate / サン・ジョヴァンニ・パッセリーナ・デル・フルジナーテ
[国] Italy / イタリア
[地域] Lazio / ラツィオ州
[品種] Passerina 90%, Bellone + Malvasia=10% / パッセリーナ, ベッローネ+マルヴァジア
[タイプ] 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<輸入元テイスティングコメント:Edited by essentia>
レモンイエローの外観。熟したアプリコットやドライピーチの果実にクラッシュアーモンドのニュアンス。非常にフレッシュでぴちぴちしている。柑橘系を思わせる爽やかな酸とミネラルのトーンが余韻まで長く続く。
<輸入元コメント:Edited by essentia>
パッセリーナといえばマルケやアブルッツォが主要産地だが、このワインを飲んでラツィオのポテンシャルを大いに感じた。比較的病気に強い品種で収量が多く酸が高いのが特徴だが、収穫が遅れると急激に酸が落ちてしまうため収穫のタイミングが重要になる。収量を抑え、適切なタイミングで収穫できれば素晴らしいワインができる。
<栽培:Edited by essentia>
【畑】サンジヴァンニ、粘土質土壌で表層に石灰岩、樹齢84年。ダブル・グイヨ仕立て、標高550m、植密度7,000本/ha、収量1.5kg/本。
<醸造:Edited by essentia>
収穫は手摘み。全房で12-16時間マセラシオンを行いプレス。ステンレスタンクで野生酵母を使用し発酵。澱の上で翌年の春まで熟成を行い、その後、54Lのデミジョングラスで2カ月熟成。【年間生産量】2,642本
<ストーリー:Edited by essentia>
歴史と伝統を尊重しながら新しい道を歩む
イタリア・ラツィオ州ピーリオ出身のダニエーレ・プロイエッティとピエルカ・プロイエッティの従兄弟はピーリオで最も注目を集める生産者コスタ・グライアの3人の創設者のうちの2人として知られていた。しかし2018年、コスタ・グライアはもう1人の脱退を機に幕を閉じる決断をした。
「コスタ・グライアは僕らにとって実験的な部分だった。色々なことに挑戦して、いずれスタートする予定だった家族のプロジェクトに活かせたらいいなと考えていたんだ。これまで様々な土地でコンサルタントとしてワイン造りに携わってきたけれど、この土地、そして自分たちのブドウで何ができるかを考える時間が必要だった。コスタ・グライアのプロジェクトを通して自分たちの土台ができたよ。」
そんなダニエーレとピエルカはコスタ・グライアの設備を引き継ぎ、従姉妹のバルバーラも加わり念願叶って家族でのプロジェクトをスタートした。名前は「アッビア・ノーヴァ」。アッビア・ノーヴァというのはピーリオとアブルッツォ州を結ぶ古代ローマの街道の名前。
「昔の道の名前を私たちの新しい道の名前にするというアイディアが気に入ったんだ。歴史、伝統を大切にしながら未来を創っていきたい。」
「近年注目を集めるラツィオとチェザネーゼ。Abbia Novaを飲めばその理由が分かる」-Vinous-
首都ローマから南に約40 km、フロジノーネ県に位置する町ピーリオ。アブルッツォに続く山々に囲まれた小さな飛び地でローマの田園地帯に面している。12世紀のフランス出身の神学者、優れた説教家としても知られるクレルヴォーのベルナールは、ブルゴーニュへと向かう前にこの地で誓願を立てたといわれている。また、ローマ皇帝ネルヴァとトラヤヌスは今日アッビア・ノーヴァが耕作をしている畑にあった別荘で夏を過ごした。アッビア・ノーヴァはそんな歴史的にも重要であったこの地において、そのワイン造りの伝統を受け継ぐ。ヴィノス誌では「近年のワイン界においてラツィオとチェザネーゼは徐々に注目を集めている。アッビア・ノーヴァを飲むめばその理由が分かる。」と評されている。
ピーリオでは過去 500 年にわたってチェザネーゼが栽培されており、2008年に“チェザネーゼ・デル・ピーリオ“としてラツィオ州初のDOCGに認定された。チェザネーゼは収量が多く比較的色調が淡くタンニンが控えめな「チェザネーゼ・コムーネ(ボンヴィーノ・ネーロ)」、最も古い歴史を持ち色調とタンニンが強く熟成のポテンシャルを持つ「チェザネーゼ・ダッフィーレ」、近年発見された「チェザネーゼ・ディ・カステルフランコ」の3つのクローンがある。アッビア・ノーヴァのチェザネーゼ・デル・ピーリオ DOCGでは全て「チェザネーゼ・ダッフィーレ」を使用し、区画ごとの特徴を表現するために3つの単一畑のワインを生産している。白ワインでは同じく土着品種のパッセリーナを使用している。
ワインのラベルには、ラツィオ州とアブルッツォ州を隔てる山々と夕日が沈む水平線、そしてそれに続くアッビア・ノーヴァの道が描かれている。センツァ・ヴァンダリスミのラベルでは、イメージの色を取り除き、輪郭だけを残し、アッビア・ノーヴァのアイデンティティーとなるいくつかの言葉(例えば、古代の高貴な土地、歴史的な家系、慎重な選択など)を加えて、ワイン同様によりシンプルに表現している。アッビア・ノーヴァは現在ピーリオにおいて5つのクリュ、合計8 haのブドウ畑を所有する。またその他に1,000本の土着オリーブの木、クルミ、ハーブ、家庭菜園を栽培している。これらの畑には第一次世界大戦後に植えられたブドウや20年前に家族によって植えられたブドウが含まれる。この地で500年以上前から栽培されてきたチェザネーゼとパッセリーナを中心に、さらに古い品種もいくつかある。
1980年代から続く有機農法、論理と実践に基づいたビオディナミ農法
アッビア・ノーヴァの所有する畑は家族が大切に管理してきた畑で、自然と共存する農業を目指し1980年代から有機農法を実施してきた。その後、ビオディナミ農法や福岡正信の提唱する自然農法、ホメオパシーを研究し取り入れた。「私たちは、これまで家族が畑を引き継いで守ってきた実践的な経験と、理論的な農法を融合させたアプローチを取ることに決めた。コルメラやカトーのようなローマの農業学者の伝統と福岡正信のアプローチ、そしてこの土地の伝統的なワイン造りを融合させたい。」例えばブドウ畑では、銅や硫黄の代わりに自分たちで生産する自然農薬を使用している。
「最も重要なことは、土壌と植物の肥沃さを促進することによって、ブドウの樹にエネルギーを与えること。」
と語る。ダニエーレの従姉妹でありパートナーの1人であるバルバーラはブドウ栽培におけるビオディナミ・スクールの創設者であり、多くのブドウ農家、ワイン生産者にその経験と論理を伝えている。
「イタリアには多くのビオディナミ農法の講座があるけど、本当に理論と実践が結びついているものがないことに気がついたの。私たちは長く実際にビオディナミ農法を行ってきたし、ビオディナミ農法以外の多くの自然農法も学んできた。だからこそビオディナミ農法に興味がある生産者に教えられることがあると思ったし、本質的なビオディナミ農法が広まっていけばいいなと思っているよ。それがいいワイン造りにつながると信じているからね。」
ブドウ本来の味わいを引き出すアプローチ
アッビア・ノーヴァではブドウそのものの風味を表現するために発酵、熟成において樽は一切使用しない。その代わり鉄、コンクリート、アンフォラ、デミジョンボトルなどそれぞれのブドウに適切だと思う材質の容器を使用している。酵母は野生酵母のみで、無濾過・無清澄で瓶詰めを行う。亜硫酸は必要であれば少量のみ添加するが、ほとんどの場合無添加となる。そのため瓶詰め後も酵母の活性が残り、開けたタイミングでは若干の気泡を感じる。チェザネーゼ・デル・ピーリオのスタイルはロンバルディア州オルトレポ・パヴェーゼのカリスマ的存在
バルバカルロを彷彿させる。
(以上、輸入元情報を基にエッセンティアにて編集。転載の場合は必ず引用元を明記のこと)