[造手] Le Clos de la Bruyere / ル・クロ・ド・ラ・ブリュイエール
[当主] Julien Courtois / ジュリアン・クルトワ
[銘柄] Résonance / レゾナンス
[国] France / フランス
[地域] Liore / ロワール
[品種] Chenin blanc / シュナン・ブラン
[タイプ] 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<銘柄エピソード:Edited by essentia>
Résonance:共振、共鳴。比較的若木にもかかわらず、ジュリアンの手にかかると非常にエキスの詰まった、しかし飲み疲れないデリケートの味わいになる。香りと味わいに共通する若干の塩味も感じ、非常に複雑。
<栽培:Edited by essentia>
位置:標高120m、平地。土壌:シリカ、シレックス、フリント、粘土。植樹:2011年。
<醸造:Edited by essentia>
マセレーションなし、古樽のバリックで18ヶ月間熟成。
<ストーリー(短文):Edited by essentia>
ジュリアン・クルトワが1998年、20歳の時に立ち上げたワイナリー。幼少時から父、クロード・クルトワと共に生活に必要な野菜の栽培や、動物の世話をしながら、ブドウの栽培、ワイン造りを醸造を学び続けた。所有する畑は、ソローニュ村でシレックスに富む粘土と、珪土土壌の5ha。ガメ、ムニュ・ピノなどは1968年植樹の古木で、収量を抑え、一部のキュヴェでは4年以上熟成後にリリースするという頑固なまでの職人気質は、しっかりと父親ゆずり。畑のほとんどが、自宅から半径300m以内にあり、極一部の離れた畑もわずか1kmほどの近さで、農作業の徹底、収穫直後のセラーへのブドウ搬入ともに理想的な環境を持つ。ガメの一部は、ヴィーニュ・フランセーズ(アメリカ産台木に接ぎ木していない樹)。醸造は、白の多くを全房でプレス、赤は除梗し木樽または樹脂製タンクで発酵。熟成は全てブルゴーニュ・タイプの古樽で行う。大原則として醸造、瓶詰めとも亜硫酸塩無添加で、派手ではないが、実を備えたワインを造る。
<ストーリー(長文):Edited by essentia>
【ワイナリーと造り手について】
ジュリアンはクルトワ家の次男として生まれ、幼いころから家業のワイン造りを手伝ってきた。父のクロード・クルトワとともにソローニュに引っ越し、1995年からレ・カイユー・デュ・パラディがワインを造り出し、その3年後の1998年、ジュリアンが20歳のときに《ル・クロ・ド・ラ・ブリュイエール》として独立した。ル・カイユー・デュ・パラディから5kmほどのところに、自宅とセラーを建て、4.5haの畑からワインを造る。早くから独立し、独自の世界観のワインを造り出してきたジュリアンの話す様子は力みがなく、例えばワイン名からも彼の思慮深さ、大事にしているものがよく分かる。
Résonance:共振、共鳴(シュナン)
Autochtone:先住の、大地からの(ロモランタン)
Originel:起源(ムニュ・ピノ)
Sava.Sol:サヴァニャン・ド・ソローニュ(ムニュ・ピノ)
Esquiss':下絵、草稿(ムニュ・ピノ)
Ancestral:先祖から受け継いできた(コー、ガスコン、自根のガメ)
Elements:元素(ガメ・ショードネ)
少し昔話をすると、2001年VTジュリアンの畑は、遅霜と収穫前の局地的な雹にみまわれ、収穫の8割を失った。もともと収穫量を抑えた栽培をしていた上に、その貴重なブドウの大方が失われてしまったのだ。1年間の苦労の結果がわずかな収穫となったのだから、ジュリアンの落胆ぶりは大変なものだった。
当時はムニュ・ピノから、オリジネル、エスキス、フラン・ド・ピエ、アルバの4種類の畑違いのキュヴェを造っていたが、この年はあまりに収穫が少なく畑別に醸造できなかったため、全てをまぜて醸造せざるをえなかった。天から無常にたたきつける雹の打撃を受け、たった2樽に減じてしまったワインにも、ジュリアンはユーモアをまじえて「コレール・ド・ゼース(ゼウスの怒り)」と名づけた。
醸造から1年以上経った2003年2月に樽からテイスティングしたときにすら濃厚なジュースといった感じで、購入を足踏みしてしまったが、その後6月にボトルから味わったときは、すばらしい凝縮感のある生きいきとした味わいで、すっかりワインとしてのまとまりがでてきていた。
このようなワインと歩んできたからこその、現在のラシーヌだと常々感じずにはいられないが、2015年頃からのジュリアンのワインには透明感のある果実味と内側から湧きあがるようなエネルギーを感じる。それには気温が上がり、収穫時期も乾燥する年ばかりになってきたために、ボトリティスが減ってきた、もしくは全くないために酸化的なニュアンスが減退してきたと言うこともあるだろう。
荒々しさの残るままリリースされていたころを懐かしくも思いつつ、現在のジュリアンのワインには余計な装飾の無いピュアな味わいが、品種とその土地の味わいが素直に表現されている。2020年にはコレール・ド・ゼウスを彷彿とさせるような、リバション(VT05−07のブレンド)がリリースされ、荒々しかった要素がまとまったときにしか現れない美しさを湛えている。
(以上、輸入元情報を基にエッセンティアにて編集。転載の場合は必ず引用元を明記のこと)