[造手] Enza La Fauci / エンツァ・ラ・ファウチ
[銘柄] Case Bianche / カゼ・ビアンケ
[国] Italy / イタリア
[地域] Sicilia / シチリア州
[品種] Zibibbo / ジビッボ
[タイプ] 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<輸入元テイスティングコメント>
エキゾチックで個性的。ミュスカらしいアロマティックで甘い香りが広がるが、味わいはドライでミネラリー。塩味が少し感じられ食中にお勧め。こういうワインは家に1本置いておきたい!
<畑・栽培>
ファーロの海岸で伝統的に栽培されていたジビッボ・ファーロ種。実際に海岸沿いに植えられて、根の一部は海水に浸かっていたが海岸の開発が進み、引き抜かれることが決まった。その古い樹を自分の畑の砂質が強い区画に植え替えたもの。
<醸造>
収穫後、6度で18時間果皮も種子も残してマセレーション。自然酵母のみで発酵。3ヶ月古バリックでシュール・リー。ALC度数13.5%。
<ストーリー>
5軒しかないファーロの個性を次世代に残す
シチリア最古のDOCながら衰退しているファーロを次世代に残す為に最良の区画を開墾。シチリアワインの専門家エミリアーノ・ファルシーニと共にファーロの個性を最大化する。
ファーロの独自性
シチリア北東部のメッシーナより更に北、ファーロ生産エリアの最北、海まで300mのコントラーダ「ピアノ・ロッカ」に位置するエンツァ・ラ・ファウチ。
『他のシチリアワインとの一番大きな違いである「ノチェッラ種」の栽培に最も適した条件を持っているのがこの地域と言われる』
海に近いので湿気が多く、斜面も東向きなので一見すると優れた産地には思えないかもしれないが、湿気を含んだ冷たい海風が過剰な気温上昇を抑え、東向き斜面が夕日で葡萄が焼けることを防ぐ。更に山から吹き降ろす熱い南風「シロッコ」も吹くので1年を通して風が吹き抜ける。この風が湿気を乾かし続けることでファーロは成り立っている。
『海風を直接受ける丘の上で葡萄は海の影響と山の影響を同時に受ける。ノチェッラがフレッシュさと上品さを与え、他の地域にはない個性を得る』
1976 年にシチリアで初めてDOCに認定されたファーロはメッシーナから近く、人気だったが、今では衰退し、造り手は最大手パラーリを含め、5軒しか存 在しない小さな産地になってしまった。強すぎる風が新芽を折ったり、湿気によるカビ対策など毎日の手作業が必要な、厳しい産地なので造り手 は減ってしまったが独自のテロワールがある。
『トゥーフォ土壌と潮風が葡萄にミネラルを与えてくれる。このテロワールの特徴を最も強く表現する品種がノチェッラとネレッロ・マスカレーゼ』
ファーロは法規制上、ネレッロ・マスカレーゼが45-60%、ネレッロ・カプッチョが15-30%。その他品種が25%までブレンドできる。
『エンツァ・ラ・ファウチでは15%ノチェッラと10%ネロ・ダーヴォラを加えることでファーロらしさを最大限に表現している』
ノチェッラはファーロにしかない品種。果皮が薄い為、カビや病気に弱いので生産量が安定しない。しかし、果皮に含まれる香成分が多く、酸とミネラルが豊富なのでワインに上品さを与える。ネロ・ダーヴォラは不安定なノチェッラと反対に毎年安定した糖度を得られるので 10%加えることで最適な糖度バランスを得ている。
グラーチ、G.ルッソと同じ醸造家
当主エンツァはシチリア唯一の高品質グラッパ蒸留所ジョヴィの娘で大学卒業後、ジョヴィで葡萄の買取りを担当していた。品質の高いヴィナッチャを手に入れる為に造り手を訪問しているうちにワインに興味を持ち、醸造学校に入学してしまう。
『卒業後、2003年にファーロの森を開墾し、葡萄を植樹。元々森だったので1度も薬品が使われていない。今でも少量の銅と硫黄のみ使用する』
当初、醸造はベナンティに相談しながら自分で行っていたが、よりファーロの個性を表現する為にエミリアーノ・ファルシーニを醸造責任者とした。
『エミリアーノはグラーチやジュゼッペ・ルッソの醸造も担当するシチリアワインの専門家。土地の個性を活かすワイン造りが特徴』
2007年にベナンティに助けてもらいながら初めてボトリング。2009年にはファーロDOCとして正式に販売を開始した。
『開墾する前は森。今も畑は3方向を森に囲まれ、1方向は海に向かって開けている。葡萄だけでない植物、昆虫、動物が存在することが重要』
畑は1枚畑で森の中。他の造り手の畑とも面していないので一切の化学薬品の影響はない。2-3年に1度のペースで植物性のコンポストを撒くが、それ以外は銅と硫黄のみ。
アッサンブラージュが重要
『土壌はチョークと砂を含む粘土質で、ところどころに「ミカ・ドラータ」と呼ばれるシスト状の岩が含まれている。これが鉄分を与える』
この種の土壌は痩せているので植樹したての若い樹は灌漑しないと死んでしまうくらい水はけが良い。
『醸造は畑の隣にある醸造所で行う。全ての葡萄は手作業で収穫され、黒葡萄は大型のプラスチック製の桶に入れて足で潰して自然酵母で発酵』
一切酵母や蔗糖、酸も足さない。品種毎に分けて収穫し、発酵。別々に熟成させている。
『できるだけ小さい単位で熟成させることで色々な個性を持つベースワインができる。それをアッサンブラージュすることで複雑味を得る』
熟成は「ファロ・テッラ・ディ・ヴェント」で12ヶ月。「ファロ・オブリ」で18ヶ月。どちらもベナンティ等で使われた古樽のみ。新樽は使わない。
■Terre Siciliane Bianco “Case Bianche”
所有畑の中で砂質が強い区画に植えられた「ジビッボ」を100%使用したキュヴェ。収穫後、6度で18時間果皮も種子も残してマセレーション。自然酵母のみで発酵。3ヶ月古バリック、3ヶ月ステンレスタンクで熟成。
『ファーロでは珍しいジビッボだが、甘いだけでなく、ファーロらしいミネラル感をワインに与えてくれるのでエキゾチックで個性的』
(以上、輸入元情報より引用)[]