[造手] Girolamo Russo / ジローラモ・ルッソ
[銘柄] Etna Rosso 'A Rina / エトナ・ロッソ・ア・リナ
[国] Italy / イタリア
[地域] Sicilia / シチリア州、Etna
[品種] ネレッロ・マスカレーゼ94%、ネレッロ・カップッチョ4%
[タイプ] 赤 / 辛口 / フルボディ
[容量] 750ml
<畑>
2003年、26haの土地を父親から相続。15haの葡萄畑はエトナ北斜面の標高650〜800mに位置。樹齢は50〜100 年。フィロキセラ以前の樹も多く 残っている。葡萄栽培農家だったので良い区画を元々所有している のが彼の有利な点になっている。自分1人で管理できるだけの畑を残し、その他の畑は「パッソピッシャーロ」や「フランク・コーネリッセン」等、優れた造り手に貸している。
<土壌>
彼の畑には過去の噴火で流れ出た溶岩の塊が残されている。土壌はこの火山岩が時間をかけて風化し、 細かい砂になったものが粘土と混ざったもの。黒色火山岩土壌。
<栽培>
醸造技術に頼るのではなく、葡萄の力を最大限引き出すとい「フランク・コーネリッセン」の考え方に共感し、畑での栽培方法も変更していく。 有機栽培は勿論だが、葡萄樹に耐性を備えさせていくことが重要。薬剤を一切使用せずに畑を作り上げていった。一方でマルク・デ・グラツィアとも親交が深く、化学的研究で各クリュを分析、最良の収穫やクローンの剪定を行っている。
<醸造>
色々な畑のアッサンブラージュだが主にサン・ロレンツォ、フェウド、カルデラーラ・ソッターナの葡萄を使用。収穫後、畑毎にステンレスタンクを分けて発酵。マセラシオンは10〜12日間。野性酵母のみで温度管理もしない。清澄、フィルターも無しで、1度移し替えをし、古いバリックで1年熟成。
<ストーリー>
『エトナ』で最も注目されている若手醸造家
フランク・コーネリッセンと共にワイン造りを始めた。凝縮度が高く、力強い新しいタイプのエトナ。近年移り住んできた 新しい造り手とは違い、地元人なので最高の区画を多く所有。
10倍に高騰したエトナ
「ベナンティ」によって高品質ワインの産地に産まれ 変わった「エトナ」。今では多くの造り手が進出し、エトナの価値は一気に向上した。
『エトナの土地は高騰し、土地の値段は10年前の10倍にまで上がってしまった。今では買うことは不 可能だし、手放す人もいない』
「グラーチ」「マルク・デ・グラッツィア」と人気の造り手も多いが、今一番人気でワインが全く手に入らないのが「ジローラモ・ルッソ」。
『ジャンシス・ロビンソンやワイン・アドヴォゲイトが絶賛したことで2015年に世界的に人気になってしまった。ワインはリリースと同時に完売する』
当主は「ジュゼッペ・ルッソ」。パッシピッシャーロ地区 で代々葡萄栽培を行ってきた葡萄栽培農家の息子 で、この地域の地主でもある。
『エトナが注目されて有能な造り手達が移住し、ワイン造りを始めた。この土地で産まれた自分こそエトナ・ワインを造るべきなのではと考えた』
『火山岩は水はけが良く、PH が低い。葡萄は熟しな がらも酸度を保つことができる。マンガンや鉄が多いのもエトナの大きな特徴』
シチリアならではの強烈な陽光は北側斜面の為に適度に制限され、過熟を防いでくれる。南斜面より収穫は2週間程度遅い。
『シチリアは暑いが、エトナ北斜面の夜は寒い。日中40度を越しても夜間は10度以下まで冷やされる。 この温度差が葡萄にストレスを与える』
適度なストレスは葡萄に生命力を与える。葡萄は生き抜く為に糖分を蓄え、病気や外敵から守る為にタンニンや酸を蓄える。 人間と同じで、少し苦労した葡萄は強く育つ。葡萄樹 はストレスを受けて丈夫になっていく。人間が守れば 守るほど葡萄は弱くなっていく。
『樹齢は50〜100年。フィロキセラ以前の樹も多く残っている。収量は35キンタル/haと通常の造り手 の半分以下』
凝縮度の高い小粒の葡萄から造られる彼のワインは 圧倒的な濃厚さを持っていて、若いうちは理解しにくいワイン。時間と共にエトナ特有のミネラルや、真っ直ぐなストラクチャーが出てくる。
フランクとグラッツィア
「ジュゼッペ」は 2003年にワイン造りを始めるまで大学の数学教師をしながらピアノ奏者として活躍していた。ワイン造りは全くの素人だった。
『友人のフランク・コーネリッセンに栽培とワイン造りを教わった。自宅のガレージから始まったワイン造りはピアノと似ていて、感覚が重要だと思った』
ジュゼッペは数学教師でありながらピアノ奏者であっ たように、化学的研究で理想を追求しながら、アーティストのように感覚も大切にしている。
『エトナで産まれて育ったが、ワイン造りの経験で、もっとエトナを理解するべきだと感じている。葡萄は生命力に溢れる植物でエトナを知っている』
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