[造手] Marion Perseval / マリオン・ペルスヴァル
[銘柄] 1er Cru “Privilège” Brut Nature / プルミエ・クリュ・プリヴィレージュ・ブリュット・ナチュール
[国] France / フランス
[地域] Champagne / シャンパーニュ地方
[品種] Pinot Noir 60%, Meunier 40% / ピノ・ノワール, ムニエ
[タイプ] 泡 / 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<栽培>
プルミエ・クリュであるシャムリー村にある畑のみ。ビオロジック。粘土石灰質で小石が多くチョーク質が多い畑のピノ・ノワールと昔のクローンで収量が少なく、実付きがまばらなムニエのアッサンブラージュ。希少なムニエのクローンを使える特権を意味するプリヴィレージュと名付けられました。
<醸造>
真鍮製タンクで発酵。野生酵母のみ。翌夏前にティラ−ジュして瓶内2次発酵。ドサージュなし。2,820本生産。
<ストーリー>
一気に人気ヴィニュロンの仲間入りを果たし、今や世界中で手に入らないシャンパーニュとなったクレモン・ペルスヴァル。新世代の代表格のように言われています。
『次世代までシャンパーニュの自然を残し、より良い地球環境を実現していく為に、小さな事から始める必要がある。葡萄畑だけでなく、セラー、販売においても』
フランス政府の企業への CO2削減の要請もあり、クレモンはヨーロッパ以外へのワインの販売を中止してしまいます。残念ですが、真摯な対応に従うほかありません。
『ペルスヴァル家は財産分与を繰り返し、クレモンだけでなく、トーマ・ペルスヴァルもワインを造っています。そして、新たにシャンパーニュを造り始めたのがマリオン』
クレモンの従妹にあたるのがマリオン。クレモン・ペルスヴァルの下で3年間働き、学んだ従妹マリオンが独立。
所有する畑は全てシャムリーでクレモンと隣り合う畑も。少雨面積は僅か3haですので生産量は少なく、フランス国内だけの販売でした。元々、小麦や野菜と少しの葡萄畑を所有する農家に生まれたマリオンですが、農業に興味を持てず、会社員としてオフィスワークをしていました。
『毎日のオフィスワークと人間関係に苦しんでいた時、クレモンが自由に 1 人葡萄畑で働いているのを知り、ワイン造りに興味を持ち、畑仕事を手伝うように』
その後、仕事を辞め、クレモンの下で葡萄栽培から醸造まで 3年間経験します。そして 2021 年、初めて自分の畑から自分のシャンパーニュを生み出しました。
『クレモンのワイン造りを学び、セラーも同じ場所を使用。醸造設備も全く同じです。畑もほぼ同じ環境なのでワインのタイプは似ているかもしれません』
近年、長い澱との接触で味わいの深さや余韻の変化を追求しているクレモンに対し、マリオンは、よりテロワール重視で、フレッシュで素直な美味しさを目指しています。
『ビオロジックのお陰で葡萄樹が自然環境に順応し、根を地中深くまで伸ばしました。これにより、土地の個性を持った葡萄が得られます。その個性をワインに移行させるのが醸造』
【古いムニエのクローン】
相続した畑には樹齢の高い古いクローンのムニエが多く残っていた。醸造所はクレモン・ペルスヴァルと同じ。畑は全てシャムリー村。モンターニュ・ド・ランスの北西部のプルミエ・クリュ。ゆるやかな丘が入り組む複雑な形状が特徴です。
『北東向きから南向きの区画。粘土の強い区画から砂室の区画まで色々な条件の畑があるので、条件に合った品種を栽培し、収穫時期も区画毎に変える事が重要』
畑は下草が伸ばされ、周囲より圧倒的に緑が濃い。夏前に1度だけ刈り込むが、あとは伸ばしっ放し。必要がある区画だけ土を掘り起こすが、それ以外は不耕起という特殊な畑。
『下草のお陰で畑には鳥や昆虫が多く、ミミズも多くなりました。均一化された土壌ではなく、不均一な複雑さの土壌が理想なので防虫剤を含め、一切の薬品は使いません』
湿気の多いシャンパーニュでビオロジック栽培はリスクも大きいのですが、春から夏にかけての時期の雨によるカビの発生がベト病、ウドンコ病の発生源です。
『雨で湿気が溜まればリスクは高まりますが、それには下草の刈込みや葡萄樹の広い仕立て、日照面と反対側の葉の除去等を1つ1つの樹で丁寧に行う事で対処できるのです』
銅もできる限り使いません。銅は地中に滞留してしまいミミズや微生物といった葡萄樹にとっての仲間を減らしてしまのです。生産量ではなく、長く続けられる農業を優先すべきなのです。
『粘土が強い区画にはムニエ。砂が強い区画にはピノ・ノワール。表土が薄く石灰岩盤が近い区画にはシャルドネを栽培。これはペルスヴァル家の知恵』
全体で 200ha あるシャムリーでは昔からムニエの栽培が盛んで、50%を占めています。今では樹齢も高く、色々なクローンが存在しているので近年注目が集まっています。
『マリオンのムニエは昔のクローンで粒が小さく、結実不良のように果実の間に隙間が多く収量が非常に少なくなるが、凝縮度が高く、酸度、糖度共に高い』
果実間に隙間があるので風が通り、湿気が溜まらない。お陰でベト病に弱いとされるムニエでもベト病に侵されることがない。お陰でマリオンのワインはベト病特有の香とは無縁なのです。
【醸造はシンプルであるべき】
マリオンは醸造より畑に重点を置きます。葡萄の表現力を高める事で土地の味わいが得られると考えるのです。醸造は、クレモンに教わった通り、そして同じ機材で行われます。
『50年以上使っているコカールで圧搾。真鍮製の古い発酵槽で発酵し、真鍮製のタンクとステンレスタンク、一部古樽に入れて熟成。発酵は野生酵母のみ』
コカールは 1台しかないので、収穫はクレモンと共同で行い、圧搾のタイミングが重ならないように調整。収穫から圧搾までの時間を早くする事が大切。
『葡萄樹から切り離された果実は軽いショックを受け、一気に酸化が始まる。できる限り早く圧搾する事で葡萄の本来持っている個性を失わないようにする』
圧搾は4時間かけて果皮、種子からの雑味を抽出しないように、ゆっくり行い、デブルバージュ。果皮に付着していた野生酵母のみで発酵。
『エチケットには興味がなく、クレモンと同じシャムリー村の地図を描いたものを使用。右上にマリオン・ペルスヴァルを表す MPを書き入れただけ』
クレモンと同じく、柔らかさ、完熟感がしっかり感じられるシャンパーニュながら、よりシャムリーの個性や品種個性を感じさせるシンプルな醸造がマリオン・ペルスヴァルの個性です。
(以上、輸入元情報に基づいてエッセンティアにて修正)[]