[造手] Walter de Batte [Prima Terra] / ヴァルテル・デ・バッテ[プリマテッラ]
[銘柄] Bianco Saladero / ビアンコ・サラデーロ
[国] Italy / イタリア
[地域] Liguria / リグーリア州
[品種] Bosco 40%, Vermentino 30%, Albarola 30% / ボスコ, ヴェルメンティーノ, アルバローラ
[タイプ] オレンジ / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<輸入元コメント>
ヴァルテル・デ・バッテの代名詞ともいえるワイン「Altrove アルトローヴェ」。チンクエテッレという枠に捕らわれず、もっと広く国を越え、いわゆる「地中海地域全体」を表現しようという、彼の強い想いを具現化したワインでした。そしてアルトローヴェなき後、その思いと哲学を受け継いだワインが、ビアンコ・サラデーロ。新しいヴィンテージ 19/20 をリリースさせていただきます。
エリア的にはチンクエ・テッレのゾーンより少し離れ、傾斜もゆるく多少の表土もある土地。2016年より畑を管理しているヴァルテル。徐々に地力が回復し、収穫できるブドウのクオリティも徐々に上がってきたと話す彼。「気温が低く酸の高い2019と、気温が高くブドウの熟度が高かった2020。まだ土地の環境が整いきっていないから、年の気候によってブドウのクオリティは大きく左右されてしまう。2 つのヴィンテージを合わせる事で、ワインとしてのバランスが取れる」。造り手として毎年の特徴、ヴィンテージを表現したいという考えはあると思います。しかし、それ以上に彼を突き動かしているのは、このリグーリアのチンクエ・テッレの土地を表現する事。それをヴァルテル流に表現した結果だと感じます。今回のヴィンテージ、ブドウの凝縮度、ヴォリュームを持ちながらも酸がしっかりと支えている。そして強烈なミネラル分と、潮風を感じさせるかのような塩分。アルトローヴェやアルモジェが、真の意味でのチンクエ テッレだとするならば、過剰な凝縮ではない繊細さとエレガントさを感じる今回のサラデーロ。リグーリアという土地のポテンシャル、魅力を持った素晴らしいワインです。
<輸入元テイスティングコメント>
良年の20年を強く感じる果実の凝縮と、芯の通った酸。海の味わいを感じるミネラル。畑の成長と共に奥行き、複雑さを持つようになりました。
<栽培>
樹齢20年前後。2016年に新たに借りた標高400mの海に面した畑。薬品類や肥料に頼らずに自然環境を尊重し、土地、ブドウ樹の自然バランスを尊重した栽培。
<醸造>
成熟する速度に合わせて、それぞれ完熟を待ってから収穫。果皮と共に7日間、緩やかに醗酵を行う。圧搾後、開放状態でバトナージュを行いながら酸化的な環境で熟成を行う。その後オリ引きを行わずに24ヶ月、シュール・リーの状態にて熟成。2019年は単一VTでのボトル詰めを行わず、2018・2020年に分けてボトル詰め。オリに問題が起きなければ、アッサンブラージュからボトル詰めまで、一度もオリ引きを行わない。
<ストーリー>
リグーリア東部、ラ スペツィア近郊。チンクエ・テッレと呼ばれる西端のモンテロッソからリオマッジョーレまで、地中海に面した5つの町。近年世界遺産に登録されたことでも注目されましたが、ワイン造りの歴史は古く、1100年代にはブドウ栽培・ワイン醸造の記述も残る、歴史ある土地。平地がなく、土地も痩せているチンクエ・テッレ。人々は急斜面の固い岩盤を砕いて石垣を築き、岩盤を砕いた際に出た砂を土壌としてブドウ畑を作ったという非常に過酷な環境。それでも、潮風とミネラル豊富な土壌から生まれるブドウ、ワインは中世の時代より価値を見出され、希少なワインとして評価されてきました。
あまりにも急な斜面、トラクターなどが入る余地はなく、栽培から収穫まですべて が手作業。収穫したブドウを運ぶのさえ、担いで階段を上らなければいけないという厳しさ。栽培面積の少なさ、過酷な環境、多大な労力を必要とするチンクエ・テッレのワインは、それだけで希少かつ特別な存在といってもいいでしょう。
ワインを造るだけでも貴重といわれる環境の中、薬品類や肥料に頼るのではなく、自然環境を尊重し、土地、ブドウ樹の自然バランスを尊重したブドウ栽培を行っている。さらに言えば、ただでさえ希少なブドウであるにもかかわらず、そこからさらに収穫量を抑え、果実の凝縮、完熟したブドウから表現されるチンクエテッレの個性。僅か0.7haの畑から収穫、ワインとして出来上がるのは僅か2000〜3000本あまりの少なさに絶句してしまいます。
一切妥協のない栽培・醸造哲学により生み出される彼のワイン。当時の時点で唯一無二のチンクエ テッレとして評価されていたにも関わらず、2007年を最後にDOCから離脱。「自分が造りたい、表現したいのは土地<テロワール>としてのチンクエ・テッレ、名前や肩書に左右されるものじゃない」。これまでの栄誉や肩書きをすべて捨てこれから先の可能性を追求するべく、「Primaterra」としてゼロからのスタートを切ったヴァルテル。一つのワインから、土地を表現する。それだけではなくもっと幅広い世界観を表現しようというヴァルテル・デ・バッテ。これまで以上の独自性を感じつつも、それを十分に感じさせる味わい、凄まじいポテンシャルを秘めたワインです。
白ブドウはブドウ品種によって収穫時期が大きく変わります。
共通して言えるのは樹上にて十分成熟するのを待ってから収穫。果皮の弱いヴェルメンティーノや アルバローラは9月末〜10月初。ボスコは10月末まで分厚い果皮が完熟すのを待ちます。果皮と共に約1週間弱、野生酵母による醗酵を促します。圧搾したタイミングでアッサンブラージュ。その後、オリと共に24ヶ月シュール・リーの状態で熟成。醗酵が終わりきる前に合わせることで、ワインとしてより一体感を得ることができる。そして醗酵の過程でオリに移った要素をすべてワインに戻すための シュール・リー。オリに問題が起きなければ、アッサンブラージュからボトル詰めまで、一度もオリ引きを行わないといいます。 ブドウ自体のポテンシャルの高さはもちろんですが、これほど長いシュール・リーに耐えるだけのバランス感。「早い段階でアッサンブラージュすることで、醗酵の最期を一緒に終えることができる。それはワインに一体感を生みだす。そして、長い期間オリと触れることでオリ由来の味わいや複雑味、香りをワインの戻すことができる。
最も可能性を感じているグラナッチャとシラーより造られるÇericò セリコ。海に切り立った標高500mの土地に2001年に植樹。グラナッチャにとって必要不可欠な海からの風と、昼夜の気温差をもった特異な環境にて栽培。ゆっくりと 成熟する果実を収穫するのは早くても10月中旬以降、長い時間をかけて熟成した果実のみを収穫。そして成熟した果皮を存分に表現するため、果皮と共に60日〜70日に及ぶ醗酵、そして木樽にて約36ヶ月の熟成。一つのワインを造るために、これほどこだわった栽培哲学、醸造からリリースまでに費やす時間、すべてにおいてケタ外れのワイン。非常に個性的な香り、果実の密度は白に負けずに高く濃密でありながら、柔らかみ、バランス感を決して失っていない。繊細さ、奥行きの 深さを感じるワイン。 過酷な環境、限られた土地。チンクエテッレという名前だけで希少かつ高価といわれる現実に逆らい、VdTとして徹底した栽培・醸造、ブドウへのこだわりによって生み出されるヴァルテル・デ・バッテのワインは、味わいを含めそれ以上の価値を持った素晴らしいワインです。リリースされるワインの少なさは常軌を逸している。リグーリアを代表する「唯一無二の造り手」といっても過言ではないでしょう。
(以上、輸入元情報に基づいて、エッセンティアにて一部編集)[]