[造手] Tropfltalhof / トロプフルタルホフ
[銘柄] Barleith / バルライト
[国] Italy / イタリア
[地域] Trentino Alto Adige / トレンティーノ・アルト・アディジェ州
[品種] Cabernet Sauvignon / カベルネ・ソーヴィニヨン
[タイプ] 赤 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<栽培:Edited by essentia>
バルライトはカルダーロ湖を見下ろす標高300mの場所にある1ヘクタールの畑。南東に向かって僅かに傾斜した、石灰質の砂利が豊富で粘土と砂の混じった区画で、湖の近くに位置します。バイオダイナミック農法。ブドウの樹齢は25年。風通しが良く日当たりの良い場所にあるため、収穫時期を遅らせることができるといい、目標はブドウを健全に保ちながら、タンニンを十分に熟成させること。
<醸造:Edited by essentia>
収穫は10月中旬−下旬とかなり遅い。ブドウは除梗後アンフォラで約7ヶ月間マセレーションとアルコール醗酵を行う。圧搾後アンフォラに戻され、澱と共に14ヶ月間熟成。少量の二酸化硫黄を添加してボトリング。ポンプを使わず自重でボトリングしたいという考えから、地下にあるアンフォラを地上に運び、地上から地下へとホースをつないでボトリングされている。瓶内で最低でも24ヶ月熟成させようやくリリースされる。
<ストーリー:Edited by essentia>
イタリアで独占的な立法権が認められている5つの特別自治州の一つ、トレンティーノ・アルト・アディジェ州はチロル地方と呼ばれる地域で、第一次大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国の一部だった歴史からも、ドイツ語が公用語となっている場所が残されています。ボルツァーノを中心としたアルトアディジェは南チロルと呼ばれ(北チロルはオーストリア領のチロル州)、この地域独自の文化が育まれ、ドイツ語でSüdtirol(南チロル)とワインのラベルに表記できることを含めワイン法にも独特の影響を与え認可されています。ヴェネツィアから北西に250km、ボルツァーノの南西20kmの場所に位置するカルダーロは古代に組成した土壌と温暖な気候から、南チロルで最も特徴的なワインの産地として知られ、今でも協同組合の650人の組合員によって500ヘクタールもの広さの畑でブドウの栽培が行われています。
一族の手によって耕されてきたトロプフルタルホフの畑は、1980年代に現当主アンドレアス・ディクリスティンへと受け継がれました。主にブドウ、リンゴ、トウモロコシを栽培、羊も飼い(休閑期はブドウ畑に放ち、下草を食べさせています)、ワイン、リンゴ、リンゴジュース、ポレンタ、羊肉のサラミやスペック(豚の燻製生ハム、豚も知り合いが育てるビオのものを使用)と数部屋あるアグリトゥリズモで生計を立てています。「自然に対峙するのではなく、自然と共にある」というアンドレアスの言葉通り、畑でブドウを観察することに膨大な時間をかけ、自然と大地の調和と均衡の手助けをしたいと考え、1997年からビオディナミ農法を実践しています。2009年ヴィンテージまでは生産したブドウを別のワイナリーに全て販売していましたが、2010年ヴィンテージより自らワインを醸造しボトリングを開始しました。
アンドレアスが考える循環型の農業の中で「めん羊」は重要な存在で、羊が食べる牧草を自らで育て、羊の糞尿は堆肥となり畑を豊かにし、羊の肉はサラミやスペック(燻製した生ハム)となり刈られた羊の毛と共にワイナリーを支える一助となります。3つの異なるキャラクターのブドウ畑の合計は2.6ヘクタールで妻ローズマリーと2人の子供たちヴェレーナとヤコブと共に、ブドウ以外にもリンゴ、スペルト小麦、トウモロコシを栽培。傍らでアグリトゥリズモも運営し、宿泊者には農業体験と共に、家族が仕込んだ加工食品を味わってもらうことで身体全体でこの土地を感じてもらうことに努めています。
毎年異なる特徴が備わるブドウを余すことなくワインとして表現するため熟成容器にアンフォラと木樽を選んだアンドレアスは、車で30分ほどの街メッツォロンバルドにあるフォラドーリのエリザベッタ女史に紹介された、スペインの生産者のアンフォラで醸造を始めました。ワイナリーにはエレベーター以外に機械はなく、ポンプや濾過機すら使わず重力や液体の特性を活かしたワイン造りを目指しています。ワイナリー名のTropfltalhofトロプフルタルホフはこの地域の言葉で「水の滴り落ちる渓谷の農場」という意味で、川の水が干上がることもあるほど気温が高く乾燥した夏となるこのエリアの中でも、絶えず水が流れる小川がある場所を指しています。
「ワインをちゃんと造ったことはなかったけど、醸造の過程で自分がしたくないことだけは明らかだった(笑)。醸すための容器は、自然由来の素材でできたものをと当初から考えていたし、ブドウによっては長いマセレーションをすることを念頭に置いていたので、アンフォラと木樽を導入することに。幸い、近所にエリザベッタ・フォラドーリという素晴らしい人がいたおかげで、アンフォラを入手するのに難儀することはなかったしね。セラーで気を付けることといえば、(セラーを)清潔に保つことと、熟成中は容器を常にワインで満たしておくことだけ。」
とアンドレアス。
オータも数々のワイナリーを訪ねましたが、ポンプを一切使用しない(持っていない!)ワイナリーはここが初めてかもしれません。アンドレアスの言葉を借りるなら、エレベーターがポンプ代わりといったところなのでしょうか。ワインを醗酵&熟成させる場所は地下2階部分にあって、地上階で除梗したブドウは自重で落ちて行きますし、ワインを圧搾する時はアンフォラごと地上階まで運び、プレスしたワインを再び自重でセラーに…。フィルターも持っておらず、酸化防止剤はボトリング時にごく少量使用するのみ。
(以上、輸入元情報を基にエッセンティアにて編集。転載の場合は必ず引用元を明記のこと)