[造手] Kofererhof / コフェレルホフ
[銘柄] Valle Isarco Pinot Grigio / ヴァッレ・イサルコ・ピノグリージョ
[国] Italy / イタリア
[地域] Trentino Alto Adige / トレンティーノ・アルト・アディジェ州、Valle Isarco(Alto Adige側)
[品種] Pinot Grigio / ピノグリージョ
[タイプ] 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<輸入元コメント>
甘くないミネラル重視のピノ・グリージョ。
<栽培>
標高は650m。1998年に植樹した1.2haの畑のピノ・グリージョ。植樹率は6,000〜7,000本/haの高密植。
畑は彼等が住む集落や修道院に隣接している。その為、畑では科学薬品の使用を避けていて、基本的には硫黄と銅しか使わない。 有機栽培への転換を自治体が支援していて資金、 作業共に自治体が手伝う仕組みになっている。
<醸造>
収穫後、8〜10時間マセラシオンしてステンレスタンクで発酵。温度は20度以上にはしないのでマロラアクティック発酵は起きない。熟成は澱と共に6ヶ月間で75%ステンレスタンク、25%が大樽での熟成。
<ストーリー>
[アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラ]
イタリア最北の産地がアルト・アディジェの「ヴァッレ・ イサルコ」地区。 「ボルツァーノ」から北へ20km以上北に位置する。更に20km北上すればオーストリアの国境。この地域の中心が「アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラ」修道院。観光地としても人気の壮大な修道院で栽培農家から葡萄を購入し、高品質ワインを生産する組合 でもある。
『ヴァッレ・イサルコでは昔からノヴァチェッラ修道院でワインが造られてきた。僕等は彼等に葡萄を売って生活してきた』
当主は「ギュンター・ケルシュバウマー」。2009年のガンベロ・ロッソで当時は無名だった彼等の「ケルナ ー」が最優秀白ワインに選出され、一気に注目が集まった。今では世界中で人気。世界を代表する白ワインの 醸造家として各誌で特集されている。
『1940年から葡萄栽培を開始。全量アバッツィア・ ディ・ノヴァチェッラに販売していた。しかし、1995年に自ら瓶詰めまで行うことを決意した』
所有畑は5ha。主な仕事はレストランの経営で、ワインはレストランで提供する為に造り始めたもの。 現在でも年間生産量3,500ケースの半分は自分達 のレストランで消費されている。
[標高1000mの畑]
彼等の畑はイサルコ渓谷の北端なので葡萄は個性的で他の栽培農家の葡萄とは明らかに違う個性を持っていた。
『僕等の畑は標高700〜800m。最も高い畑は1,000mを超える。酸度が高いまま葡萄が成熟してくれる珍しい環境。この個性を活かす為には自分で造るしかないと考えた』
イサルコ渓谷は険しく、畑は段々畑になっている。年間を通して冷涼で葡萄にとって厳しい環境。 葡萄品種は「シルヴァーナー」「ミュラー・トゥルガウ」「ケルナー」そして「リースリング」など気温の低さに対応できるドイツ系品種。
『標高が高いので夏でも夜間は0度近くまで冷える。 葡萄は寒暖差でストレスを体験し、自らを守る為に糖度だけでなく色々な成分を凝縮させる』
植樹率は6,000〜7,000本/haの高密植。収穫は全て手作業。
『自分達だけで畑を管理できる限界が5ha。葡萄の樹1本1本の個性を伸ばすことがワイン造りだと思 っている』
[マロラクティックはしない]
彼等のワインの最も大きな特徴が「ノン・マロラクティック」で仕上げること。イタリアでは珍しい。
『葡萄自体に複雑さがある。ミネラルの含有量が多い。そして酸の質が高い。これを活かす為にマロラクティック発酵をしない』
マロラクティックを行わないとリンゴ酸が多くなり、ワインはフレッシュで垂直的な味わいを得る。
『アルコール発酵を低めの温度で行い。糖分を全てアルコールに変化させる。その段階で1度まで冷やし、酵母の活動を止める。その後、粗いフィルターで酵母を取り除く』
亜硫酸等で強制的に発酵を止めるのではなく、温度管理と粗いフィルターでマロラクティックを起こさな いように調整している。 マロラクティック発酵でワインは柔らかくなる。硬く垂直的なリンゴ酸は1/6に減り、丸い味わいの乳酸に変化する。
『マロラクティックをしないのでワインは硬く閉じてしまう。その為、熟成はアカシアの大樽で行う。アカシア独特の香がワインに柔らかさを与えてくれる』
※<ストーリー>のここまでは2021年7月時点での輸入元情報に基づいてエッセンティアにて編集
❖修道院のワイン❖
コフェレルホフの歴史は古く、976年まで遡ります。この地の荘園として葡萄栽培を中心として野菜の栽培を手掛けていました。南チロルで最も古いワイナリーと言えます。
『地元でトラットリアの経営を始め、そこで提供するワインを初めてボトリングしたのが1995年。それまではイサルコの歴史的修道院アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラに販売していた』
この地域の葡萄栽培農家は伝統的にアバッツィア・ディ・ノヴァチェッラに葡萄を販売してきました。現在も100軒を超える農家が葡萄を卸しています。
『ヴァッレ・イサルコのワインの流通は100年以上、アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラによって行われてきたので、販売先がない個人の造り手は独立する事は不可能だった』
1940年、ケルシュバウマー家がコフェレルホーフを購入。葡萄栽培を引き継ぎますが、その葡萄の品質の高さに驚き、1995年、遂に修道院への販売を止め、自家ボトリングを開始。
『販売ルートは全く無かったが、自分達のトラットリアで提供したワインの評判が広まり、2009年にはガンベロロッソ誌でイタリア最高の白ワインに選出されて人気に』
今ではイタリア国内の星付きレストランへ直売する他、日本、アメリカ含め数ヶ国のみへ輸出をしていますが、生産量の半分は、今でも自分達のトラットリアで飲まれています。
『11haの葡萄畑はイタリア最北のヴァッレ・イサルコに位置。イタリアというよりオーストリアの文化が強く、ワイン造りもオーストリアの影響を強く受けている』
アルト・アディジェ最高のピノ・ビアンコはグンフォフが造り、最高のシルヴァーナーはクエンホフ。そして最高のケルナーはコフェレルホーフが造ると言われ、この3社は群を抜いています。
『生産量は4,000ケース/年ですが、市場に出るのは、僅かに2,000ケース。評価誌にも滅多に出る事もないので、そのワインをイタリアで手に入れる事はほとんど不可能』
❖厳しい自然環境に合う品種❖
ヴァッレ・イサルコはボルツァーノから北東に40km行ったノイシュティフト村にあります。アバッツィア・ディ・ノヴァチェッラまでは300m。葡萄にとって最高の土地に位置します。
『標高は650〜900mで土壌は砂質、粘板岩、花崗岩がモザイク状に入り組むモレーン土壌。これは1億年前の氷河に由来するものです』
日照時間は多いのですが、陽光は弱い上に、夜間の温度は夏でも氷点下近くまで下がるので日中の暑い時間帯は僅か。葡萄は温暖化の今でも、ゆっくり成熟します。
『昼夜の寒暖差は35度にもなり、葡萄樹は適度なストレスを受けて、過熟になりません。また、冬が長いので、葡萄樹の生育スピードは遅く、成熟度は上がります』
ヴァッレ・イサルコのテロワールは他のイタリアのどの産地とも似ていません。冷涼な気候は石清水のようなピュアさを与え、モレーン土壌は余韻にミネラルを与えます。
『イサルコのテロワールは一般的には厳し過ぎるが、ケルナーやシルヴァーナー等、一部の品種にとって、この厳しさが品種の個性を引き出し、上のレベルに引き上げてくれる』
栽培される品種はグリューナ・フェルトリナー、リースリング、ミュラー・トゥルガウ等、果実やボリュームよりも地下の影響を表現する事ができる品種が選ばれる。
『このテロワールを活かす事ができる特別な品種。そして、それを丁寧に栽培し、正しく醸造する事が非常に重要。造り手のエゴではなく、テロワールを尊重するのです』
❖シルヴァーナー・エッレ❖
シルヴァーナーは遅霜や寒さに弱いので、日照量の多い南向き斜面に植える事が絶対条件です。コフェレルホーフのシルヴァーナーは丘陵の中腹部の南向き斜面のみ。
『1985年に植樹した最も条件の良い真南を向く畑のシルヴァーナーはポテンシャルが高いのでシルヴァーナー・エッレが造られます。3回に分けて収穫する』
1回目の収穫で酸味とフレッシュさ、2回目の収穫でフルーツ。3回目の収穫で旨味と力強さを得る。ポテンシャルが高いので50%は伝統的アカシア樽で熟成。
『寒さに強いケルナーは丘陵下部の冷気がたまる場所を好む。生育が早いので酸度が落ちないうちに十分な成熟度を得る事ができるヴァッレ・イサルコの最適な品種』
1929年にドイツで黒葡萄のトロリンガーとリースリングを交配させて出来た品種。厳しい環境でないと平坦で単純なワインになるが、イサルコでは適度な厳しさを持ちミネラリーなワインに仕上がる。
『全てのワインはノン・マロラクティック。発酵時期が既に寒いのと酸度が高いのでマロラクティックは基本的に起こらない。天然のリンゴ酸と揮発的な品種由来の香をワインに残す』
マロラクティック発酵を行うと総酸度は1/6まで減少してしまいます。イサルコの厳しい自然を感じるワインにする為、リンゴ酸の垂直性と品種由来の香は必須なのです。
『発酵は野生酵母のみでステンレスタンクで行います。熟成はフレッシュさを残す為に嫌気的なステンレスタンクを使うが、一部は伝統的なアカシア大樽を使用』
他の地域にはない、石清水にレモンを搾ったかのようなフレッシュさ、ピュアさ。山のミネラルは細かく、繊細で飲み疲れる事はなく、体に染み入るような美しさを感じるはずです。
※<ストーリー>のここまでは2024年9月時点での輸入元情報に基づいてエッセンティアにて編集