[造手] IL Mortellito / イル・モルテッリート
[銘柄] Rosso “Calaniuru” / ロッソ・カラニウール
[国] Italy / イタリア
[地域] Sicilia / シチリア州
[品種] Frappato, Nero d'Avola / フラッパート、ネロ・ダーヴォラ
[タイプ] 赤 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml
<畑・土壌>
畑は海から2kmという位置にあり、標高は100m以下。黒色粘土質、砂質土壌と白石灰岩が層になって重なっている特殊な土壌。
『5m掘ると地下には白亜石灰岩層があり、その層の下は海水が通っている。海のミネラルと山のミネラル、どちらも含んでいる土壌』
黒色粘土質は果実感を葡萄に与え、砂質は香を与える。白亜石灰岩は塩味と植物的なタンニン、骨格を与えてくれる。このバランスこそが重要。
『単一の土壌ではなく、色々な土壌で育った葡萄をアッサンブラージュする事で複雑味や深みが出てくる。これもこの地域の伝統』
ノートでは伝統的に軽く、クリスピーで爽やかな赤ワインが好まれてきた。それこそが地元に根差した伝統だったから。Frappatoは8月下旬から9月初旬、Nero d’Avolaは9月中旬から下旬にかけて収穫。
<醸造>
別々に自然発酵し、マセラシオン。(Frappatoは1週間以内、Nero d’Avolaは24時間のマセラシオン)その後、ブレンドし、ステンレクタンクで6ヶ月間熟成。SO2はボトリング直前に少量を添加。Calaniuruは「黒葡萄」という意味。
<ストーリー>
シチリア南東部ノート、海のミネラルワイン
フランク・コーネリッセンやラモレスカに葡萄を売っていたダリオがボトリング開始。海から2kmの畑の地下には海水が通っている。海のミネラルを感じさせる軽やかなスタイルは独特の世界。
廃れてしまったワイン造り
カターニアから車で2時間。パッキーノに近いシチリア南東部の「ノート」はアーモンドやドライトマトが主産業で、手つかずの自然が残る過疎地帯。
『イル・モルテッリートという名前は祖父が2haの畑を所有していた地域名。彼等のルーツと言える地名に由来する』
周辺はアーモンドの樹とトマト畑ばかり。海までは3kmで潮風にも乾燥にも強い植物しか適応できなかった。葡萄畑はほとんど残っていない。
『マグロ漁港として有名だったマルツァメーミは70年代までバルクワインをフランスや北イタリアに出荷する為の港だった』
30年以上前までエトナより葡萄畑が多かったノート。昔の人は葡萄にとって良い土壌と良い気候があったから葡萄を植えたはずだと気付いた。
『2019年は暑く、雨もなかった。普通ならアルコールが上がり、甘くなるが、ノートではタンニンは増えるが、アルコールは上がらないし甘くならない』
当主は海と農業を愛する「ダリオ・サレンティーノ」。スキューバダイビングのインストラクターをしながらワイン造りをしている。
『元々、フランク・コーネリッセンやラモレスカに葡萄を売っていたが、2014年から販売をやめて自分のワイン造りを開始した』
フランク・コーネリッセンの初期の「ススカール」には彼のモスカートが使われていた。また、ラモレスカが所有していたノートの畑もダリオが引き継いでいる。
希少種モスカート・ディ・ノート
代々、農家だったダリオは親戚を説得し、皆の畑をダリオが借りる形で23haまで増やした。その内、12haが葡萄畑で残りはアーモンドとオリーヴ畑。
『量を得る為の古い仕立から樹勢を抑えられるアルベレッロ仕立に変更し、6000本程度の密植に畑を変更していった』
元々は黒葡萄が栽培されてきた地域だが、ダリオはカタラットとグリッロを植樹(一部混植)。更に希少なモスカート・ディ・ノートも接木で残している。
『モスカート・ディ・ノートはジビッボとは違う品種で果皮が厚く、粒が小さい。爽やかな香とミネラル感が強いので甘くても飲み進められる』
ジビッボはモスカート・ディ・アレッサンドリアと同種だがモスカート・ディ・ノートは全く違う遺伝子。この品種を栽培しているのは、現在僅か3軒…。
黒葡萄はネロ・ターヴォラとフラッパート。完全に熟している事が重要だが、ノートの乾燥の中では少しの過熟も許されない。
『酷暑でも地下水脈があるので葡萄は灌漑しなくても生きられる。しかし、収穫時期を逃すとアルコリックで重たく単純なワインになってしまう』
完熟から3日収穫が遅れるだけでアルコールは15%を超えてしまう。高いアルコールはワインの繊細さを覆い隠してしまう。
『重く甘い赤ワインは暑いノートでは飲まれない。地元で好まれる少し冷やし目でも美味しい軽くクリスピーで酸のあるワインを造りたい』
赤ワインのマセラシオンは僅かに24時間。完熟したネロ・ターヴォラは果皮が柔らかいので長くマセラシオンすると雑味が出てしまう。
『ネロ・ターヴォラは酸化にも弱い。長いマセラシオンや酸化的醸造は土地の個性や繊細な味わいを覆い隠してしまうので良いと思わない』
今の流行とは全く違うワインだが、土地の味をしっかり感じさせるダリオのワイン。本来、暑いシチリアで日常的に飲まれていたのはこんなワインのはず。
(輸入元情報より引用)
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