[造手] Skerlj / スケルリ
[銘柄] Malvasia / マルヴァジア
[国] Italy / イタリア
[地域] Friuli Venezia Giulia / フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア
[品種] Malvasia / マルヴァジア・イストゥリアーナ
[タイプ] オレンジ / 辛口 / ミディアムボディ / SO2(酸化防止剤)無添加
[容量] 750ml

<栽培>
一切の薬品類、化学肥料、堆肥さえも使用せず、周囲の自然環境を尊重した栽培を行う。

<醸造>
収穫後、開放式の大樽にて3週間、果皮と共にアルコール醗酵を終える。圧搾後も大樽にて18か月、ボトル詰め後30か月の熟成。

<ストーリー>
トリエステ近郊、サレス。若き当主マテイ・スケルリはCarsoカルソと呼ばれる、強烈な個性を持つ土地にて、2008年よりボトル詰めを開始。
2004年より自ら開墾した畑は、分厚い石灰岩を削岩機で砕くという途方もない作業を行い、畑では一切の薬品類、化学肥料、堆肥さえも使用せず、周囲の自然環境を尊重した栽培を行う。醸造は白ブドウを開放式の大樽にて、約2~3週間のマセレーション。途中一切の温度管理・SO2の添加を行わない。それがたとえ醸造学的に「危険」と言われる状況であっても、自身の感性を優先した醸造を徹底している。土地由来の強いミネラルと可能性、それでいてどこか親しみやすい雰囲気、サレスのワイン造りを担う若き造り手。

トリエステから北西に10km、内陸の町サレス。海までは15kmと離れていて、スロヴェニアとの国境までは 23kmと近い。標高は 260 300 m、大地のほとんどが固い岩石 石灰岩 、岩盤質ででき ており、表層土がほとんどないのが特徴。カルソ地域はこうしたカルスト地形、石灰岩、鍾乳 石などの水溶性の岩石が覆い尽くす土地。そのため、現在ある畑はすべて人工的に造られ たもの。上の岩石を取り除いて、海岸の町(ドゥイーノ)から赤土を運び入れて作った。また雨 が少なく、そして何より冬に吹く強い風ボーラ( Bora )は風速150km、気温はマイナス8℃に もなり、立っていられないほどの強い風は、植物の栽培にとってかなり厳しい環境を作りだし ている。オリーヴなど根の深く伸びない樹は簡単に倒れ てしまう 、建物も風に強い石造りの街 並みも特徴的。 ほとんどの土地はこの 石灰質の岩盤 に覆われ ており 表層土が 全くない ため、伝統的に農業 よりも畜産、放牧といった産業が盛んにおこなわれてきた地域。サレスの町に、今でも残って いる地域伝統のオスミッツァ を現在も続けているスケルリ家。地域の現実的な問題(離農、人口減少、食文化の希薄化、etc )の中、薄れていくオスミッツァの文化。 このサレスの文 化・伝統を愛し、本気で残したいと立ち上がった次期当主こそ、マテイ・スケルリである。

2006年、まだ27歳という若さでありながら 、自家醸造用の1ha の畑を基本に周囲の放棄 されたブドウ畑(高齢化、離農が進み、多くの畑が手入れさえされていない)を借り、自家醸 造 ・ ボトル詰め 用のワインの生産を 開始。畑は代々引き継いできた樹齢の高い畑( 40年、60 年)が 0.6ha、他には 2003年、 2006年と自ら切り開いた畑が各 0.5ha 。どちらも放棄地をゼロから開墾(地中にある分厚い石灰岩層を削岩機で砕き、表土は近隣に点在する Duline と 呼ばれる場所より赤土を運ぶ、という途方もない作業)、高密植、アルベレッロ仕立て にてヴィトフスカ、マルヴァージア イストゥリアーナを植樹。テッラーノは樹の特徴 からグイヨ ーに仕立てる。 開墾当初のみ、微量ながら堆肥を使用したものの、高樹齢の土地 や 2 年目以降の畑で は一切の肥料、堆肥を使わない。もちろん薬品類も一切使用せず、最低限の銅と硫黄物の み。基本的には畑の自然環境を整えることで土地自体のバランス感、しいてはブドウ樹の自 己管理能力を高めることを尊重。収穫した果実は除梗したのち、開放式の大樽にて約 2 週 間 のマセレーション。野生酵母による醗酵を行う。

果皮の恩恵を受けたヴィトフスカ、マルヴァージア、それでいて全くと言っていいほど「強さ」というものを感じない。 土地由来の重厚なミネラル分を持ちつつも 圧倒的なしなやかさ、親し みやすさを持ったワイン。 マテイ曰く「 自分にと ってのワインとは、偉大な物 と いうよりも、もっと 昔から身近にあったものなんだ。自分の開墾した畑の成長とともにワインの力も増していくと 思うけど、このサレスのワイン、オスミッツァの雰囲気を忘れないワインを造り 続けて いきたい と思う」 経験値の少なさ、畑の若さをものともしない、マテイの 柔軟かつ、感覚的な 栽培・ 醸造哲学。土地への強い愛情と、地域の伝統を守る彼の決意と行動に心からの敬意と表したい。
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