[造手] Benanti / ベナンティ
[銘柄] Etna Bianco / エトナ・ビアンコ
[国] Italy / イタリア
[地域] Sicilia/シチリア州、Etna
[品種] Carricante / カッリカンテ(カリカンテ)
[タイプ] 白 / 辛口 / ミディアムボディ
[容量] 750ml

[畑] 標高900〜1000mの畑。エトナ東側のミロと南側のサンタマリア・ディ・リコディアにある畑のブレンド。樹齢は 35〜50年。アルベレッロ(ゴブレ、株仕立て)
[土壌] 火山岩と砂質が強く、非常にミネラルに富んだ土壌。
[醸造] ステンレスタンクで発酵。樽熟成なし。酵母は畑から採取したカリカンテに相性の良いものをスターターとして使用。

<ストーリー>
『エトナ』の歴史はベナンティの歴史
近年一気にその名声を高めたエトナ。イタリアで最も注目されている産地と言えるがエトナの歴史はベナンティから始まった。樹齢100年を超える自根の樹も多く所有。

エトナの歴史を作った一族
1800年代末「ジュゼッペ・ベナンティ」がカターニャの「ヴィアグランデ」でワイン造りを開始。その後、財産分与を繰り返し、畑は細分化されてしまう。1988年、初代ジュゼッペの孫で現当主「ジュゼッペ・ ベナンティ」が畑を買い戻し、エトナのワイン造りの復 興を目指して動き出した。
『当時のエトナは全く注目されていなかった。父、ジュゼッペはサルヴォ・フォーティと共にエトナの個性を表 現したワイン造りに注力した』
当時「エトナ」のワインはシチリアワインと呼ばれていた。「エトナ・ワイン」ではなかった。彼等はエトナ火山の黒 い火山岩土壌を活かした「エトナ」固有の味わいを実 現していった。
『エトナの歴史はベナンティの歴史。エトナのポテンシ ャルを引き出し、エトナ・ワインとは何かを決めたのが ベナンティ。エトナ=ベナンティなのです』
今では世界中で人気となった「エトナ・ワイン」。世界中でも珍しい火山岩土壌から生まれる赤ワイン。PHが低く、独特の硬質感を持っている。
『シチリアワインの6%がエトナ・ワイン。エトナはシチリアワインではない。エトナはエトナ・ワイン。シチリアは 海のワインだがエトナは山のワイン』

標高1200mの畑
「ベナンティ」はエトナの全てを知っている。エトナ火山の北斜面、東斜面、南斜面、西斜面、全てに畑を 所有している。
『標高は一番低い畑でも500m。最も高い畑は葡萄 栽培の限界を超えているとも言われる 1200mでカ リカンテを栽培している』
そして、もう1つ重要なのが樹齢。「セッラ・デッラ・コ ンテッサ」が産まれる畑の樹齢は100年を越す。

■セッラ・デッラ・コンテッサ(南エトナ)
『セッラ・デッラ・コンテッサはフィロキセラに侵されて いない自根のネレッロ・マスカレーゼとカプッチョが混植されている』
標高は500m。エトナ南斜面らしい柔らかく、雄大なワインが産まれる。重心が低く、重厚な味わい。

■ロヴィテッロ(北エトナ) 近年注目の北斜面「カスティリオーネ・シチリア」。標高は750mで樹齢は平均 80年。
『葡萄が熟すまでの時間が長く、果皮の成分が成熟 する。硬質なミネラルを表現するのに向いていて垂 直性の味わいをもたらす』

■ピエトラマリーナ(東エトナ) エトナ・ビアンコで唯一スペリオーレを名乗れる畑「ミロ」。東斜面で雨が多いのが特徴。
『標高は950mで樹齢は80年。乾燥を嫌うカリカンテが最もミネラルを表現できる畑。雨が多いのがプラスに働く』
西斜面の標高1200mの畑にはカリカンテが栽培されていて酸度を活かしてスプマンテが造られている。 各地域の個性を活かしきっている。

エトナ新時代
近年、注目の産地となった「エトナ」。新しい造り手が 多く出てきている。「グラーチ」や「ジローラモ・ルッソ」 のような新しいタイプの「エトナ」も認めている。
『飲み心地がよくタンニンも少なく、ブルゴーニュのよ うな新しいエトナも素晴らしい。でもベナンティは古 典であって変わってはいけない』
例えば、近年の「ネレッロ・カプッチョ」を軽視する動き についても否定的。「マスカレーゼ」と「カプッチョ」の ブレンドがエトナの伝統だと言う。
『カプッチョは酸度が低くタンニンも少ない。確かに マスカレーゼの方が優れている。しかし、混植するこ とで互いの欠点を補い合う』
硬いミネラルに柔らかさを与えるのが「カプッチョ」の 役割で、それがエトナの個性。 白ワインでは酸度が高く香の少ない「カリカンテ」にフルーティーでアロマティックな「カタラット」をブレンドすることが流行しているが、これにも否定的。
『カタラットはエトナ原産ではない。エトナ原産の白葡 萄はカリカンテ。酸とミネラルが特徴。それを消すな んてエトナの個性を消すのと同じ』
一般的に好まれる味わいを目指すのではなく、エトナ本来の味わいを残そうとする彼等。エトナのパイオニアとしての強い意志が現れている。
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